側弯症と脊柱管狭窄症の2度の手術がfailed back に終わった腰椎椎間孔狭窄症患者

患者:70歳 女性

経過:3年前から腰痛と左の臀部・大腿外側に痛みと左下腿外側にしびれあり。その後、立位・歩行が困難になったため地元病院を受診。検査の結果、側彎症を認めるがL4/5の脊柱管狭窄症が原因と診断され、神経除圧術を受けた。しかし、症状の改善が不良のため2ヵ月後に再手術を受けた。それでも症状の改善は不良(*failed back surgery)であったため、遠方から私の外来を受診された。
   *症状の改善を図れなかった手術をfailed back surgeyと呼びます。

診察・検査所見
腰痛と左臀部と大腿・下腿の痛み・しびれを認め、立位・歩行が困難な状態であった。症状と神経学的検査から、左L5神経根症と診断。レントゲン撮影では、Cobb角23度の右に凸の側彎を認めた。MRIとCTでは、L4/5の除圧状態に問題はないが、症状側である左のL4/5とL5/S1の椎間孔狭窄を認めた。

診断:側彎症による左L4/5とL5/S1の椎間孔狭窄症。症状は左L5神経根症であることから責任部位はL5/S1と判断。

手術
過去に2回手術を受け、側彎症を認めることから、MD法により左L5/S1とL4/5の椎間孔内でL5とL4神経根除圧とL4-S1の最小侵襲法によるTLIF+ペディクスクリュー固定術を行った。側彎矯正は行っていない。
    TLIF:経椎間孔椎体間固定術
手術時間:3時間30分、出血量:60ml

手術所見
L4/5とL5/S1の椎間孔は骨性狭窄が強く、椎間孔内でL4・L5神経根の強い癒着を認めた。L4/5の椎間孔内には、先の手術によると思われる瘢痕組織を認めた。

術後経過
翌日から離床し、リハビリを開始した。術翌日から三日間くらいは鎮痛剤は不要であったが、その後炎症による痛みに対して消炎鎮痛剤を頓服で使用した。約4週間のリハビリを行い退院したが、痛みはよく軽減し、立位・歩行障害は解消した。

本例の教訓
腰椎側彎症で神経症状を認める場合には、脊柱管の他に椎間孔内と椎間孔外の狭窄病変を疑う必要があります。この患者さんは、L5神経根症なので原因部位はL4/5の脊柱管内かL5/S1の椎間孔内・外にあるはずです。先にL4/5の脊柱管狭窄症に対して2度の手術が行われ、いずれもfailed back surgeryに終わっていることから、L5/S1の椎間孔内・外に原因があるはずです。画像検査では、果たしてL5/S1の椎間孔に狭窄所見を認めました。

もし、この患者さんが2回の手術を受けていなければ、MD法による左L5/S1の椎間孔除圧術のみを選択しました。しかし、今回は3度目になることから、確実に良くすることを考えてL5/S1と前回の手術部位を含めた除圧・固定術としました。

側彎症に対する矯正術は、成人、特に高齢者では通常不要と思います。詳しい説明は省略しますが、成人で固定術を行う意義は除圧状態を維持することにあると考えています。もし、再発したなら、再除圧術で対応可能です。

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