腰椎椎間板ヘルニア手術を失敗させる原因は?

腰椎椎間板ヘルニア手術を失敗させる原因には、主に次の三つがあります。

1.症状の原因であるヘルニアの診断が困難な場合 


これには次の二つがあります。

(a)MRI画像で複数のヘルニアを認め、どれが原因か診断が難しい場合。無症状のヘルニアが複数存在することは少なくありません。 誤って、症状と関係のないヘルニアを摘出しても当然のことながら症状は改善するはずはなく、手術は失敗に終わります。

(b)ヘルニアは脊柱管内、椎間孔内、さらに椎間孔外に発生します。一般に脊柱管内のヘルニアは診断しやすいですが、椎間孔内や椎間孔外のヘルニアはよく見落とされます。椎間孔内ヘルニアは外側型ヘルニア、椎間孔外ヘルニアは超(又は最)外側型ヘルニアと通常呼ばれます。原因不明とされたケースでは、これらのヘルニアが見落とされていることが少なくありません。外側型や超外側型ヘルニアは、脊椎外科専門医でさえ見落とすことや 自信をもって診断し、手術まで進めることのできないことがあるので注意が必要です。

2.診断が正しく、ヘルニアが摘出されても神経除圧が不十分の場合

手術目的はヘルニア摘出にあると考えられがちですが、ヘルニアを摘出すれば事足りるというわけではありません。手術によって神経の圧迫状態が完全に解消されなければならないのです。ヘルニアの一部の取り残しがあり、神経の圧迫が残った場合、さらに狭窄症にヘルニアが合併したケースでは、ヘルニアが摘出されても、狭窄症による神経の圧迫が残った場合には、手術は失敗に終わります。これのことも手術が成功するための重要なポイントです。

3.執刀医の未熟さと経験不足、熟練した執刀医の慢心からの油断

執刀医の経験が浅いと、診断と技術の未熟さから手術に失敗が起こることは容易に想像できます。一方、熟練した執刀医であっても慣れや慢心から油断が起こり、思わぬ失敗を招くことがあります。このように執刀医の経験・技術や心構えが手術の成功と深いかかわりがあることを知ってく必要があります。

ポイント:椎間板ヘルニア手術成功の鍵は、医師の診断力、判断力、技術力、プロ意識にあります。これらを兼ね備えた脊椎外科医であれば、椎間板ヘルニアは必ず治せる病気にできるはずです。

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