超外側型の腰椎椎間板ヘルニアが見落とされていた40代の男性

腰椎椎間板ヘルニアの正確な診断は難しい!

腰椎変性疾患には診断の見落としのため原因不明とされてしまうものが多数あります。その代表格が超外側型椎間板ヘルニア(最外側型ともいう)です。紹介するケースは他の医療機関で原因がはっきりしなかったため私の外来を受診されました。

患者:45歳、男性 一年間、腰痛と右太ももの外側から前面とすねの内側に痛みが続いたが、病院で受けた画像検査では明らかな異常はないと診断された。そのため薬物治療で経過をみたが徐々に悪化した。

診察結果:神経検査では、右のL4神経根の支配領域に痛みと知覚障害を認め、筋力低下はないが、右で膝蓋腱反射は消失していた。この所見から右L4神経根症と診断した。MRIでは、L4/5の右の超外側型ヘルニアを認めた。脊柱管内には問題はなかった。

治療:経過が長く、薬物治療の効果が不十分で生活に支障があるため手術治療を決めた。手術はMD法で超外側型ヘルニアを摘出し、強く圧迫されL4神経根を除圧した。

結果:手術翌日から離床し、入院中に太ももからすねの痛みは軽減し、歩行障害も改善し良好な結果となった。

コメント:超外側型ヘルニアでは後根神経節という神経根の最も痛みに敏感な部分が圧迫刺激されるため、患者さんにとっては大変辛い痛みになるのが普通です。このタイプのヘルニアの診断は今もって困難であり続けています。もし長く続くにもかかわらず、原因不明とされた神経根性疼痛(痛み)の患者さんはセカンドオピニオンを受けることをお勧めします。

神経根性疼痛とは、坐骨神経痛のように神経根が脊柱管内外で圧迫・刺激されるために起こる痛みです。通常、神経根が支配する皮膚領域にも痛みが広がります。

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