
腰椎変性疾患の全体像
腰痛や足のしびれで病院を受診すると、「脊柱管狭窄症」「椎間板ヘルニア」「すべり症」など、さまざまな病名を告げられます。しかし、これらは別々の病気ではなく、加齢による変化を背景とした「腰椎変性疾患」の一つです。
腰椎変性疾患とは、腰椎を構成する骨、椎間板、関節、靱帯などが、加齢変化を進めながら発症する腰椎疾患の総称です。
代表的な病気
- 椎間板ヘルニア
- 脊柱管狭窄症
- 椎間関節症
- 変性すべり症
- 分離症、分離すべり症
- 側彎症
- 黄色靱帯肥厚
疾患特徴は、これらの病型が単独で発症することもありますが、複数が合併して発症することが少なくありません。
高齢者では、複数病変が併存して病態が複雑化し、診断と治療がより困難になる傾向があります。また高齢女性では骨粗鬆症が加わり、臨床像が複雑になる傾向があります。
症状は、病型が異なっても腰や下肢の痛み・しびれ・麻痺、立位保持困難、歩行障害、膀胱直腸障害などの神経圧迫症状が段階を踏みながら進行しますが、それぞれの病型で痛みやしびれなどの臨床像に特徴があります。
治療は、どの病型であっても神経障害や生活に支障のない初期には、薬物治療や理学療法などの保存治療が優先されます。しかし、神経障害が進んだり、薬物治療の効果がなくなり生活への影響が大きくなった場合には手術治療の検討が必要になります。
手術治療は、どのような方法を取ろうとも、第一の目的は、神経根・馬尾神経の圧迫・拘扼を確実に取り除くことです。これによって、まず立位・歩行が改善し、神経障害による下肢症状は障害程度・期間に応じた回復を示すようになります。
長期的な予後でみると、加齢で進行する腰椎変性疾患の特性から、手術と同じ部位で再発することや、他の部位に新たに椎間板ヘルニアや狭窄症、すべり症などが発生する可能性は少なくありません。従って、繰り返し手術が必要になる場合があることを想定して本疾患としっかり向き合うことが患者さん、医療者双方に必要です。
病名は違っても、多くは「加齢による腰の変化」という共通の背景があります。まずは自分の病気を正しく知ることが、
適切な治療への第一歩です。
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