なぜ手術タイミングが重要なのか

手術結果を左右する手術のタイミングとは?

ヘルニアの手術を受けるのであれば、「最良の結果」を期待するのは自然なことです。「最良の結果」とは、「痛みと神経障害を残さない生活への復帰」です。これを手術ゴールとするなら、実現するために次の二つの条件が必須です。
 「適切な手術時期」と「的確な手術」
どちらが欠けても最良の結果を得ることができません。
今回は、「適切な手術時期」、すなわち「手術タイミング」について説明します。

ヘルニアの症状で最もやっかいなのが神経障害によるものです。ヘルニアが神経根を圧迫することで起こす神経障害です。これによって痛みやしびれ、麻痺が起こります。

手術治療が必要になるのは、身体が備える治癒力が期待できない時です。手術は、ヘルニアを摘出して神経の圧迫を取り除き、障害された神経の回復力を引き出します。

ここで強調したいのは、手術で神経の圧迫を取り除いても、手術で障害された神経を治すことはできないことです。神経の回復は、あくまでも神経の自力回復によります。医学が進んだ現代においても、神経の障害を直接に治す治療法は存在しないのです。

ここまでの説明で明らかなように、神経障害は時間の経過とともに進行し、一定の段階を超えると回復力が徐々に失われていきます。そのため、神経に十分な回復力が残っている時期を逃さないことが重要になります。

どのような手術法を取るにせよ、手術時点における神経の回復力次第で未来が決まります。
従って、神経根が回復力を残す段階で手術を行うことが理想です。その段階とは、私案の「腰椎椎間板ヘルニアのステージ分類に基づく治療法の選択」では、ステージIIIに相当し、「痛みと神経障害を残さない生活への復帰」が可能となります。

しかし、理想通りに進むとは限らないのが病気治療の常です。患者さん個々が置かれた条件や状況のもとで、より良いアウトカムを目指すことが現実的には重要であり、そのことについても「ステージ分類に基づく治療法の選択」で詳しく説明しましたのでご参照ください。

腰椎椎間板ヘルニアは、経過中に神経根障害が進む危険性をはらむ病気です。漫然と保存治療を続けることには「神経後遺症」という落とし穴があります。症状変化に十分に注意しながら、私が提案した「腰椎椎間板ヘルニアの臨床ステージ分類」、「腰椎椎間板ヘルニアのステージ分類による治療法の選択」を参考にしていただいて、ご自身の病気の現在地を知り、適切な時期に適切な治療法を選択していただきたいと思います。

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