腰椎椎間板ヘルニアで排尿障害が発現したら、手術治療をどう考えたらよいか?

腰椎椎間板ヘルニアで排尿障害が発生したら?

腰椎椎間板ヘルニアと診断され、排尿に異変を感じた時にどう判断したらよいか、次の項目に沿い説明します。
項目
1.はじめに
2.腰椎椎間板ヘルニアによる排尿障害の特徴とは?
3.どんなヘルニアで排尿障害は起こるのか?
4.手術を急がなければならない状況とは?
5.排尿障害の回復はどんな時に良い?悪い?
 注意:3.の途中から有料部分になります。

1.はじめに

ネットでは、「排尿障害は手術が必要なサイン」とあるが、自分の膀胱症状は大丈夫だろうか?
こんな悩みをお持ちの方に脊椎外科専門医が正しい対応方法をわかり易く解説します。

2.腰椎椎間板ヘルニアによる排尿障害の特徴とは?

排尿障害は、脊柱管内で馬尾や神経根が椎間板ヘルニアによって圧迫されて起こることがあります。その頻度は、多い報告でも約8%であり、決して多くはありません。典型的には、ヘルニア発症後に腰痛や下肢の痛み・しびれに続いて、尿意の障害と排尿困難が起こります。膀胱に尿が一杯貯まり、下腹部が張っているにも係わらず尿意は起こらず、排尿が全く出来ない状態が完全尿閉です。一方、尿閉はあるが不完全ながらも排尿のできる状態が不完全尿閉です。これら神経障害による排尿障害の総称が神経因性膀胱です。

腰椎が原因の神経障害性膀胱の特徴は、膀胱の筋肉の緊張が低下するため尿が過剰に貯まり、膀胱の収縮力が低下するため排尿が困難になります。これは専門的に低緊張性膀胱と呼ばれ、随意的な排尿に困難はあるが、腹圧をかけると不完全ながらも排尿が見られます。困った問題は、腹圧で尿漏れ(尿失禁)が起こることです。さらに神経因性膀胱では、尿閉を伴わない頻尿や排尿時違和感などの症状が発現することもあります。

他の原因による排尿障害と鑑別する上で重要な点は、ヘルニアで高頻度で見られる腰痛や臀部の痛みと下肢のしびれなどの神経症状です。神経症状は、両下肢に起こる馬尾型と片方に起こる神経根型、さらに両方がミックスした混合型とがあります。歩行障害は認める場合も認めない場合もありますが、完全尿閉では必ず認めると言ってよいでしょう。

排尿障害に関係する代表的疾患には、男女ともに見られることのある過活動膀胱、男性では前立腺肥大や前立腺炎、女性では膀胱炎などがあります。これらとヘルニアが合併することがありますので、診断には注意が必要です。さらに宿便によっても排尿障害が起こることがあります。

自分の膀胱症状が、ヘルニアによる症状なのかどうかと悩み、ネット検索するヒトの多くは、あったとしても比較的軽い神経因性膀胱による症状との印象を私は持っています。私のブログ「医療相談室」での印象です。とはいえ、のんびり構えていて障害が進行して慌てることのないように、正確な知識をもって適切に対応することが必要なことは言うまでもありません。

3.どんなヘルニアで排尿障害は起こるのか?

排尿障害が起こるヘルニアのレベルは、学術誌にはL2/3とL3/4の比較的上位と報告されています。私のケースでは、L4/5とL5/S1の下位レベルで尿閉が起こっていました。他にも下位腰椎とする報告が散見されます。このことから、排尿障害はすべてのレベルで起こり得ると理解して良いでしょう。


ヘルニアの大きさとの関係では、急速に尿閉へと進むケースは、脊柱管内を占拠する巨大ヘルニアであることが多いと言われています。これは私の症例でも同じです。巨大ヘルニアはレベルを問わず、排尿障害に関係し易い。しかし、ヘルニアの大きさが持つ意義は、あくまでも脊柱管内腔の広さに対してです。例えば、脊柱管狭窄のあるケースでは、ヘルニアが巨大でなくても尿閉をきたす可能性があります。一方、ヘルニアが巨大でも、脊柱管内腔が生まれつき広々したケースでは、排尿障害が起こらないばかりか、ヘルニアによる症状自体が軽く済みます。従って、排尿障害はヘルニアの大きさだけではなく、脊柱管内腔の広さと密接に関係すると理解してください。ただし、ヘルニアが大きければ大きいほど、完全尿閉に進むスピードは速くなるので注意が必要です・・・・・・

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